原料:ツヴァイゲルトレーベ(北海道産)、ピノノワール(北海道産)
醸造:大阪
●余市のブドウ
コロナの影響は思いがけないところで、私たちに貴重な機会を与えてくれました。
ワインの減産によりブドウ出荷量に余裕ができたということで、大阪に北海道余市のブドウたちがやってきたのです。
私たちは基本的に大阪のブドウをつかって大阪でワインをつくることを大切にしていますが、やはり全く違うエリアで育った
ブドウや普段触ることのない品種を扱うことができるのは勉強になるし、何よりも楽しい!
ワイナリー新設ラッシュの続く北海道のブドウが今後も大阪に入ってくることは難しそうですので、ぜひこの機会に島之内
フジマル醸造所で北海道のブドウを醸したワインをお試しください。
●ツヴァイゲルトレーベをフジマルらしく
ツヴァイゲルトレーベは「濃い!」ブドウです。さすが余市。届いたブドウは高品質で、単純に醸すだけではボディーが厚く
フジマルのワインらしからぬ、かなり重心の低いワインになりそうでした。そこまで重くしたくないけれど、皮の旨味やタンニ
ンはしっかり抽出したい。そこでまず考えたのは、500L のクヴェヴリで積極的に酸化的熟成させること。これは、豊富なタ
ンニンをできる限り柔らかくするためです。さらに、一部のブドウは別容器に分けてセミマセラシオンカルボニック法で発酵
して、ライトでフルーティーな香りと味わいを引き出し、これらをアッサンブラージュすることにしました。
●ピノノワールで『Chill』なハーモニーを
醸造で工夫したことで、分厚いながらも優しいワインができそうでしたが、やはりツヴァイゲルトだけでは納得のいく飲み心
地を醸し出せませんでした。そこで考えたのが、ステンレスタンク熟成した余市産ピノノワールとのアッサンブラージュ。
少し野性味を含んだ繊細なピノノワールと、重心が低く柔らかいツヴァイゲルトをうまく調和させることで、バランス良く飲み
疲れない『Chill』な赤ワインを着地点に定めたのです。高品質なヴィニフェラ品種を育む余市のブドウ畑に思いを馳せなが
ら、大阪で心を込めて作った Chill-out red をぜひお試しください。
●テクニカルノート
1.(ツヴァイ)除梗破砕の後、樹脂の開放タンクで 2 週間自然発酵。毎日1~2回ピジャージュを行い、発酵
終盤はルモンタージュをして完全発酵直前でプレス。フリーランとプレス果汁は分けずに合わせて発酵
完了したのを確認した後、500L のクヴェヴリに澱引きして熟成。
2(ツヴァイ)320kg だけ別にして、全房と
除梗をミルフィーユにし、樹脂タンクで 2 週間のセミマセラシオンカルボニック。足踏みをしてさらに
3 日間の醸し発酵を続けてバスケットプレス。澱引きの後ステンレスタンクで 11 ヶ月熟成。
3(ピノノワール) 除梗破砕の後、樹脂の開放タンクで 2 週間自然発酵。発酵中盤までは毎日1~2回強めに
ピジャージュを行い、発酵終盤はルモンタージュをして完全発酵直前でプレス。フリーランとプレス果
汁は分けずに合わせて発酵完了したのを確認した後、ステンレスタンクへ澱引きして 9 ヶ月熟成。
ボトリング 5 日前に144%、219%、337%をアッサンブラージュし、亜硫酸塩を 40ppm 添加して瓶詰。
液体の移動はタンクの空寸に炭酸ガスを貯めた状態で優しくゆっくり行いました。
フジマル醸造所(島之内・清澄白河)の成りたち:
2010年、ワインショップFUJIMARUやカーヴ・デ・パピーユなどワインショップを経営する株式会社パピーユが、ボランティア数名とともにカタシモワイン&フード(通称カタシモワイナリー)より、柏原市大県(おがた)にある『堂の内畑』(マスカットベリーA)を借り受け、カタシモワイナリー内にて委託醸造を開始、『ドメーヌ・デ・パピーユ』ブランドのスタート。2011年、耕作放棄地であった『岩崎谷畑』を大阪府の外郭団体みどり公社の斡旋で地主さんより借り受ける。再開墾し垣根仕立てのぶどう畑(メルローなど)を造成。2012年、高井田にてデラウェアとベリーAの畑を新たに賃借。また、羽曳野市の飛鳥ワインにて太子町のデラウェアを委託醸造。2013年、大阪市中心部、島の内にて醸造所を設立。自社畑産ブドウのほか大阪や日本各地から買いブドウを仕入れて醸造しています。日本でも類を見ない都市型ワイナリー『島の内フジマル醸造所』です。2013年以降はすべて島之内フジマル醸造所にて醸造。そして2015年8月には東京・清澄白河にフジマル醸造所をオープン。こちらではおもに東日本のブドウ栽培農家さんから原料葡萄をわけてもらって醸造しています。
ぶどう造り:
約2haの自社管理畑のブドウから造ったワインは「キュベパピーユ・シリーズ」としてリリースしています。その他に日本各地から質の良いブドウを仕入れ醸造を行っています。自社管理畑ではボルドー液以外は年に2~3回ほどの防除のみと減農薬を心がけ、農作業はすべて手作業で注意深く行いました。収穫されたブドウは選果、粒よりし健全な粒のみを使用。ワインをお飲みになるお客様の顔を想像しながら、スタッフとボランティアの方々とで力をあわせワインを造りました。本当にたくさんの人に手伝っていただいたおかげで私たちのワインは出来上がっています。