原料:デラウェア(大阪府産 100%)
醸造:大阪
●FUJIMARU のデラウェア
私たちはデラウェアがワイン用ブドウとしても優れた品種だと考えています。大阪の自社畑で丹精込め
て育てるデラウェアは房と果粒が小ぶりで、皮が分厚くて種も多いため、旨味がギュッと詰まっていま
す。その魅力は華やかさや派手さではなく、滋味深く体に染み込むような美味しさ。
その特徴をもっとも発揮するのがオレンジワインで、さらにクヴェヴリ(ジョージアでワイン造りに用
いられてきた卵型をした粘土製の素焼きの甕)での熟成は相性が素晴らしいです。このような考えのも
と、私たちはこのキュベを FUJIMARU のフラッグシップワインとして作り続けています。
●ブドウ&ワイン作り
天候、特に収穫期の晴天に恵まれて、比較的豊作となった 2022 年。青デラを作るために意図的に収量
を増やしたことも影響して、このヴィンテージは柔らかい旨味が特徴のスルスル系オレンジワインに仕
上がりました。ピジャージュは力強く、酸素をしっかり送り込みながら。デラウェアは果皮のタンニン
がかなり控えめなので、かなりしっかりめのピジャージュをしても渋みを強く出さずに旨味を最大限引
き出せるのです。
●クリアなつくりで
私たちのワインつくりは清澄や濾過を一切行わず、キュベによっては澱を意図的に少し入れてボトリングするこ
とも。この「キュベパピーユデラウェア甕仕込み」もそんなキュベです。
日本ワインでは濁りのあるスタイルがかなり肯定的に受け入れられるようになり、ワインにおいても濁り=旨味と
いう認識でむしろポジティブに考える方が増えました。しかし、デラウェアのワインを世界へ発信していきたい
と考えたとき、やはりクリアなつくりの方が広く受け入れられやすいのは確かです。
そのため、2022 ヴィンテージはできるだけクリアにして、濁りがもつ独特の旨味に頼らずにデラウェアの美味し
さを最大限に表現することを目指しました。
これまでのヴィンテージとは少しだけ趣が異なるのを感じていただければうれしいです。
●テクニカルノート
除梗破砕の後、樹脂の開放タンクで毎日1~2回ピジャージュしながら 15 日間の醸し発酵。主発酵終了
後、メンブレンプレス機で搾汁しフリーランとプレス分を合わせて、250L のクヴェヴリ 4 基で 11 ヶ月
熟成。200L ステンレスタンク 4 本に澱引き後 30ppm 亜硫酸塩を添加してさらに 2 か月熟成した後、瓶詰。
フジマル醸造所(島之内・清澄白河)の成りたち:
2010年、ワインショップFUJIMARUやカーヴ・デ・パピーユなどワインショップを経営する株式会社パピーユが、ボランティア数名とともにカタシモワイン&フード(通称カタシモワイナリー)より、柏原市大県(おがた)にある『堂の内畑』(マスカットベリーA)を借り受け、カタシモワイナリー内にて委託醸造を開始、『ドメーヌ・デ・パピーユ』ブランドのスタート。2011年、耕作放棄地であった『岩崎谷畑』を大阪府の外郭団体みどり公社の斡旋で地主さんより借り受ける。再開墾し垣根仕立てのぶどう畑(メルローなど)を造成。2012年、高井田にてデラウェアとベリーAの畑を新たに賃借。また、羽曳野市の飛鳥ワインにて太子町のデラウェアを委託醸造。2013年、大阪市中心部、島の内にて醸造所を設立。自社畑産ブドウのほか大阪や日本各地から買いブドウを仕入れて醸造しています。日本でも類を見ない都市型ワイナリー『島の内フジマル醸造所』です。2013年以降はすべて島之内フジマル醸造所にて醸造。そして2015年8月には東京・清澄白河にフジマル醸造所をオープン。こちらではおもに東日本のブドウ栽培農家さんから原料葡萄をわけてもらって醸造しています。
ぶどう造り:
約2haの自社管理畑のブドウから造ったワインは「キュベパピーユ・シリーズ」としてリリースしています。その他に日本各地から質の良いブドウを仕入れ醸造を行っています。自社管理畑ではボルドー液以外は年に2~3回ほどの防除のみと減農薬を心がけ、農作業はすべて手作業で注意深く行いました。収穫されたブドウは選果、粒よりし健全な粒のみを使用。ワインをお飲みになるお客様の顔を想像しながら、スタッフとボランティアの方々とで力をあわせワインを造りました。本当にたくさんの人に手伝っていただいたおかげで私たちのワインは出来上がっています。