●トロピカルなデラウェアと気候の変化
山形県はデラウェア生産量日本1位、品質もトップクラス。なかでも山々に囲まれた盆地を最上川が流れる自然豊かな置賜地区は、日射量が豊富で寒暖の差が大きく、成熟期の雨量が少ないため、高い品質のデラウェアが作られています。 特徴としては、華やかでトロピカルなイメージで、私たちが大阪の自社畑で栽培するデラウェアとは美味しさの特徴が違います。とはいっても、2024 年の7,8月は置賜地区でも気温35°Cを超える猛暑日が続いたようで、冷涼なテロワールを感じるブドウと簡単には言えなくなってきました。
●変化しつつある特徴をどう活かすか
以前と比べて一番感じるのは、苦みの出現です。山形のデラウェアを絞ったときに苦みを感じることはほとんどなかったのですが、2024 年のブドウは生果の搾汁時にも果醪の搾汁時にも、奥の方に仄かな苦みを感じました。同時に酸がやさしくなって、味わいの重心が少し低くなったように思いました。大阪の露地デラウェアに比べれば、まだまだトロピカルなイメージですが、以前ほど際立ってポップな雰囲気ではなく、やや落ち着きのあるテイストでした。さて、この特徴の変化をどうするか。ネガティブな変化では全くないのですが、やはり変化しつつあるブドウの個性を考えてワインをつくらなければなりません。味わいの調和を考えると、クヴェヴリでの熟成期間を少し長めにして酸化熟成感で落ち着かせ、苦みとのバランスを整
えるのが良さそうでした。置賜のデラウェアを醸したフレッシュなオレンジワインからは、黄桃やパイナップルのような華やかな香りと果実味が感じられるのですが、クヴェヴリでの酸化的熟成を経ることで金木犀や杏子の香りように落ち着いて
奥行きのある味わいに仕上げることにしました。
●酸は青デラで
やはりワインの酸は大切です。フジマルのデラウェアのワインではスタンダードとなりつつある、青デラワインでの酸の補強。酸が芯を作ることで味わいに奥行きが生まれ、骨格のバランスが整います。食中酒として様々な味覚に寄り添ったり、時にはリセットしたりするには、輪郭のぼやけたワインでは難しい。
早摘みの酸っぱいブドウにネガティブな要素がほとんど無いというのも、デラウェアの素晴らしい個性のひとつだと思います。
●テクニカルノート
青デラは全房でダイレクトプレスし、樹脂の開放タンクで 2 週間の自然発酵後、おり引きして樹脂の密閉タンクで 10 ヵ月静置。熟したデラウェアは除梗破砕後に樹脂の開放タンクで醸しの自然発酵。とても旺盛な発酵で、約1 週間でほぼ発酵完了したが、その後 1 週間抽出を継続した。ピジャージュは、発酵期間中には強めに 1 日 2 回、抽出期間中はやさしめに 1 日 1 回おこなった。果醪の搾汁後に 20ppm の亜硫酸塩を加えてクヴェヴリで 7 か月熟成。さらにクヴェヴリからステンレスタンクへおり引き時に 5ppm の亜硫酸塩を追加し、約 1 か月熟成。ボトリング前日に青デラワインを 20%ブレンド。
原料:デラウェア(山形県産 100%) 内容量:750 ml アルコール分:11%
総酸:6.7 g/L 総亜硫酸:6 ppm 遊離亜硫酸<1 ppm
製造者:株式会社パピーユ 製造場:島之内フジマル醸造所
無濾過無清澄のため澱が生じることがありますが、品質に問題はありません。必ず15度以下での保管をお願いいたします。
フジマル醸造所(島之内・清澄白河)の成りたち:
2010年、ワインショップFUJIMARUやカーヴ・デ・パピーユなどワインショップを経営する株式会社パピーユが、ボランティア数名とともにカタシモワイン&フード(通称カタシモワイナリー)より、柏原市大県(おがた)にある『堂の内畑』(マスカットベリーA)を借り受け、カタシモワイナリー内にて委託醸造を開始、『ドメーヌ・デ・パピーユ』ブランドのスタート。2011年、耕作放棄地であった『岩崎谷畑』を大阪府の外郭団体みどり公社の斡旋で地主さんより借り受ける。再開墾し垣根仕立てのぶどう畑(メルローなど)を造成。2012年、高井田にてデラウェアとベリーAの畑を新たに賃借。また、羽曳野市の飛鳥ワインにて太子町のデラウェアを委託醸造。2013年、大阪市中心部、島の内にて醸造所を設立。自社畑産ブドウのほか大阪や日本各地から買いブドウを仕入れて醸造しています。日本でも類を見ない都市型ワイナリー『島の内フジマル醸造所』です。2013年以降はすべて島之内フジマル醸造所にて醸造。そして2015年8月には東京・清澄白河にフジマル醸造所をオープン。こちらではおもに東日本のブドウ栽培農家さんから原料葡萄をわけてもらって醸造しています。
ぶどう造り:
約2haの自社管理畑のブドウから造ったワインは「キュベパピーユ・シリーズ」としてリリースしています。その他に日本各地から質の良いブドウを仕入れ醸造を行っています。自社管理畑ではボルドー液以外は年に2~3回ほどの防除のみと減農薬を心がけ、農作業はすべて手作業で注意深く行いました。収穫されたブドウは選果、粒よりし健全な粒のみを使用。ワインをお飲みになるお客様の顔を想像しながら、スタッフとボランティアの方々とで力をあわせワインを造りました。本当にたくさんの人に手伝っていただいたおかげで私たちのワインは出来上がっています。




