●果物王国のメルローと温暖化の影響
果物王国、山形のなかでもブドウ栽培の盛んな置賜地区のメルロー。冷涼な気候の山形といえども、気候変化の影響で 2024 年は 35°Cを超える猛暑日も多く、9 月の月平均気温は記録的な高温となったほどでした。その状況下でも美味しい果物を作り続ける農家さんたちには本当に頭が下がります。この温暖化の影響は確実にブドウにも出ていて、この年に山形から届いたメルローは糖度がやや抑えめでショットベリー(青く小さくて固い無核果)が多く、果皮の厚みと色合いも薄め。酸はしっかり残っていたので果物としては美味しかったのですが、ワインを仕込むときに懸念されたのが『青さ』(ピラジン臭)でした。
●青さと向き合う
できる限りショットベリーを取り除いて醸しましたが、やはり発酵が進むにつれて青い香りが強くなっていきました。青い香りもバランスが良ければハーブのような、さわやかな、という印象を与えることができますが、今回のメルローは青さが強く、最終的なバランスを崩してしまいそうなほどだったのです。そこで考えたのが、新樽をつかうことでした。おなじ植物系の強い香りをぶつけることで、うまくバランスをとれるのではないかという想定で、新樽比率 50%で熟成を行いました。
●ウッディかつハーバルなファインワイン
熟成中は 2 か月ごとくらいでテイスティングをして、青さが隠れるのを待ちました。待ちすぎると樽香が強くなりすぎて逆に飲みにくいワインになってしまいます。樽香が勝ってきたかなというタイミングでボトリングし、樽香と青い香りのバランスがとれるまで瓶内熟成。すると、あれだけとがっていた「青さ」がウッディな樽香とシームレスにつながり、ハーバルなアクセントへと見事に調和してくれたのです。さらに、芯のある酸と余韻の長いタンニンが続き、素晴らしい仕上がりにまとまってくれたと思います。メルローらしさを残しつつ樽熟成のピノノワールのように使っていただける赤ワインで、酸とタンニンのポテンシャルも高めでファインに仕上がっているので、数年の熟成でさらに化ける可能性があります。
●テクニカルノート
除梗破砕後セニエで 15%の果汁を抜き、2 週間、毎日1~2回ピジャージュをしながら野生酵母で醸し発酵。主発酵終了後、30ppm の亜硫酸塩を添加してフレンチオーク樽で9ヶ月熟成。新樽比率は 50%.
原料:メルロー(山形産 100%) 酸化防止剤(亜硫酸塩)使用
内容量:750 ml アルコール分:11%
総酸度:6.3 g/L 総亜硫酸:7.8 ppm 遊離亜硫酸:1.8 ppm
製造者:株式会社パピーユ 製造場:島之内フジマル醸造所
無濾過無清澄のため澱が生じることがありますが、品質に問題はありません。必ず15度以下での保管をお願いいたします。
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