産地 イタリア/トスカーナ
品種 カナイオーロ
豊満で柔らかなタンニンと骨格を備えている。
カナイオーロはともすると地味になりがちだが、酸を意識したワイン造りをすることで、途端に魅力的になる。
黒果実、チョコレート様の重厚な香りに、トルフェ特有の野菜(トマトやセロリ)の香りが混じっている。
酸でバランスを取っており、重さだけに終始しないワイン。
セメントタンクで醗酵、木樽で7ヵ月間熟成。
いつもお世話になっております。島之内フジマル醸造所の店長の河端です。
暖かな日中とグッと冷える朝晩の寒暖差の大きい今日この頃。
季節の変わり目は体調管理が難しいですね・・・。
気温だけではなく、越前かにや松葉ガニなど各エリアの高級ブランドズワイガニの漁も解禁されたりと
次の季節の訪れが食材でも感じられるようになりました。
これからレストランは繁忙期に突入!しっかりと準備をして臨みたいと思います。
さてソムリエ目線でのオススメワインを紹介するシリーズ、第九回目はこちらのワインをご紹介させて頂きます。
【河端とこのワイン】
醸造家はジャコモ・マストレッタさん。
彼の醸したワインを初めて飲んだのは2012年。
当時、彼が醸造を勤めていたのはキャンティクラシコのエリアを構成するガイオーレ地区ににある
小さな家族経営の『ラ ポルタ ディ ヴェルティーネ』というワイナリーでした。
銘柄はキャンティクラシコで、予備知識は無く飲んだのですが、素晴らしい味わいで価格に対して
頭一つ抜けているクオリティーだなと感じ、よくよく調べてみると2006年に創業、最初の2年間
に晩年の「天与の味覚をもつ偉大なエノロゴ」ジューリオ・ガンベッリを醸造コンサルタントとして迎え、
氏の指導を受けた最後の弟子の一人と・・・。
点と点が繋がって身震いしたのを今でも覚えています。
当店のセラーにも常にラインナップしており、これからも楽しみなワイナリーだなと思っていたのですが、
ふいに別れが訪れる事になりました。
オーナーの会社が倒産したため、2014年ごろからワイナリーは存続の道をさがしていたのですが、
それが実ることなく、蔵の歴史を閉じたのです。
それから彼の新たな活躍の場と、あの忘れられないタッチの味わいを待ちわびる事、数年。
2018年キャンティ コッリ セネージ地区にブドウ畑を所有するシエナ近郊のトルフェ村にある
『ラ トッレ アッレ トルフェ』の醸造家として就任されと知った時は本当に嬉しかったです。
以前とは土壌やぶどうを取り巻く環境が変わり、その土地の個性に合わせスタイルも変化しましたが、
やはり彼らしい魅力が詰まっていてグラスを傾けながら『おかえりなさい』と呟きました。
今年の5月に初めてお会いした際に、暑苦しいくらいにアナタが造ったワインが昔から大好きなんです!
とお伝えするとハニカミ笑顔をくれた(笑)ナイスガイです!
今回ご紹介するワインはキャンティの補助品種のカナイオーロ単一で造る個性溢れるアイテムです。
もちろんキャンティがフラッグシップ商品ですが、このカナイオーロも素晴らしいです。
【テイスティングコメント】
色調はダークチェリーレッド。
粘性はやや強い。
香りはプルーンジャム、黒糖、カカオ、メントール、セロリ、黒胡椒、ナツメグなど重心が低く複雑。
凝縮感のある果実味、柔らかでしっかりした酸味とカカオ的なビターさに、心地良いレベルの収斂性のあるタンニン。
アルコール度数は高めだが、それを感じさせない様々な要素が絡むフルボディータイプ。
飲用適温は18℃前後。
果実のヴォリューム、しっかりとしたタンニンが有りますので高めの温度が良いです。
おすすめのグラスの形状は、キャンティ型です。
香りはニュートラルに感じとれ、甘みを感じやすいので全体的にバランスをとりやすいです。
島之内フジマル醸造所のレストランでは
『なにわ黒牛と春菊のボロネーゼソース カカオを練り込んだストラッチ』に合わせてオススメしております。
なにわ黒牛の軽やかながらも強い旨味と香味野菜の甘味に負けない果実味、
程よい酸味がトマトの酸味とも調和します。
また、香りの構成要素にある、カカオ、青い香り、黒胡椒、ナツメグが料理にも使用されて
似ていて親和性が高いです。
これからの季節に需要が高まるテイストで活躍が期待できますし、経年による変化も非常に楽しみな1本でもあります。
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島之内フジマル醸造所
店長 河端 浩史
勤続 13 年目になり、ずっとフジマルのセレクトと共に歩んできましたが、
新たな試みとし
て『酒屋』目線ではなく、『ソムリエ』目線でのおすすめのワインをご紹介させて頂くこと
になりました。
皆様のワイン選びの助力になれば幸いです。